薔薇の新芽

今年も薔薇の新芽が芽吹きました。
どんなに、この新芽に力づけられてきたことでしょう。
32年間続けて来たフランス料理店を閉店しようと決心した時、心が折れそうになりました。
多くの方々に支えられて、やっと続けて来られた。多くの方々に、ご迷惑をかけてしまった。
もうこれ以上は無理だ。
寒空の下、店先の薔薇の枝に目を向けました。そこに小さな新芽を見つけたのです。
まだこんなに寒いのに、もう新芽が芽吹いている。
なんと、いじらしいことでしよう。
なんと力強いことでしよう。
もう一度生き直しをしたい。
もう一度立ち上がらねば…。
折れそうになった心に光が見えて来ました。
薔薇の新芽が私に教えてくれたのでしょうか。
北野坂に、この薔薇と共に移転した、初めての春、私は、ぼんやりと薔薇の新芽を眺めていました。
そうだ、薔薇のジェラートをお客様に召し上がって頂こう。
思い立ってすぐ、ル・パッサ-ジュの春名シェフに相談しました。
マダムのイメージしているジェラートの材料を集めてくれたら僕が作ります。
6年間サロメのシェフを務めてくれた、あうんの呼吸でしょうか、見事な薔薇のジェラートが誕生しました。
薔薇の新芽は、いつも私に大切なことを教えてくれます。